The I in the Alphabet.
創薬(dry)アドベントカレンダー 5日目記事 (ポエム)。
この小説は読んだことはあるだろうか? www.kadokawa.co.jp
軽くネタバレになるが、「標的を与えると計算によって完璧な治療薬を創製する」無敵の創薬ソフトウェアが登場する。アミノ酸配列から立体構造を生成する end-to-end の構造予測を実現した AlphaFold2 の薬版のようなものと言えるかもしれない。
はっきりそういうものを目指したものかどうか現時点では不明だが、DeepMind 社から今度は創薬を目指した会社が立ち上げられた。
ちなみに会社のロゴは Game of Life のセルオートマトンを表しているようだ。
ゲーム開発者としてキャリアをスタートし、神経科学を経て AI 開発によって各分野で無双しているハサビス氏がここで情報科学と生物学の同型性 (isomorphism) を見出すことを企図して IsomorphicLabs 社を立ち上げ会社ロゴに (Conway's) Game of Life を採用しているのは正に集大成といった感があるな! https://t.co/7oCPsgSLq8
— 叢雲くすり(創薬ちゃん) (@souyakuchan) 2021年11月5日
正しいセル配置はこっちかもしれない。 pic.twitter.com/tOk0Gdpeoe
— 叢雲くすり(創薬ちゃん) (@souyakuchan) 2021年11月4日
もし無敵の創薬ソフトウェアが誕生したら喜ばしいことではあるが、技術的にはまだだいぶ距離があるとは思う。AlphaFold2 にしても、生物が長い進化の過程で最適化してきたような相互作用の型を有する構造に当てはまらないものについてはあまりまともな構造を出してこないし、点変異や翻訳後修飾などといった細部の考慮もまだできない。あらゆる化合物についてウェットのデータを新たに爆発的に生産・蓄積していくような体制を組めれば無敵の創薬ソフトの創出もワンチャンあるかもしれないが、いずれにしろ現時点で人類が持ち得ている情報だけでは恐らく足りないだろう。機械学習だけでなく ab initio な物理化学計算も組み込めばなんとかなったりする可能性も一応あるのだろうか?
お金が無限にかかったとしても投げ出さずに頑張ってほしいところではある。