covalent inhibitor 探索

創薬(wet)アドベントカレンダー 2021 1日目記事。

標的と共有結合するタイプの薬剤は以前からあるが、難しい標的に対して共有結合性薬剤を開発する例が近年増えてきている印象があるのでメモ。 例えば長年 undruggable な難しい標的であった KRAS に対して遂に今年、初の阻害剤として sotorasib が承認されたが、これは KRAS の G12C 変異のシステインに対する共有結合性阻害剤となっている。 標的ポケットが浅く低分子でターゲットしにくいものを共有結合で強引に攻める力技とも言える。

sotorasib については、アクリルアミド化合物群からスクリーニングした結合化合物をもとに、結晶構造を見ながら活性を上げていったようだ。

実際に結合化合物を探索する際には、covalent warhead と称される反応性官能基を含むフラグメント化合物のライブラリからまずはスクリーニングするのが定石の1つだろう。

enamine.net

市販のライブラリがあるので使ってみてもよいかもしれない。

実験系としては、質量分析によるフラグメントの共有結合の検出や、ハイスループット結晶ソーキング構造解析のような手もある。 共有結合するフラグメントを取得してからの PROTAC との合わせ技なども散見されてきており、難しい標的に立ち向かう際の武器の1つとして扱えるようにはなっておきたい。